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アスベストはいつから使用禁止になった? 歴史や危険性について解説

公開日:2023/11/28 最終更新日:2023/11/29
禁止

アスベストはそのメリットから広く使われてきましたが、人体におよぼす危険性が明らかになり、法律による規制が進みました。アスベストにかかわる方にとって、アスベストがもたらす健康被害について理解しておくことは大事です。

この記事では、アスベストの使用禁止までの歴史とその危険性に焦点をあて、なぜ禁止が必要となったのかに迫ります。

アスベストが使用禁止になった理由

アスベストは石綿とも呼ばれ、その多様な用途から約3,000種以上の建材製品や工業製品に利用されています。アスベストは、建材に必要とされる性能を多く有しています。耐火性や断熱性、防音性に優れ、薬剤などにも耐性を示し、かつ安価で手に入れやすいことから重宝されてきました。

しかし、法律により徐々に使用が制限され、現在では全面的に禁止されています。その制限や禁止はなぜ行われたのでしょうか。その理由は、肺がんや悪性中皮腫などの健康被害が発生する可能性があるからです。

1960年には、日本でじん肺法が施行され、アスベストによる健康被害への対策が始まりました。その後、1975年には一部の使用が禁止されましたが、全面的な禁止までには約30年という長い年月がかかってしまいます。

アスベストの使用禁止までの歴史

アスベストの健康被害を抑えるため、日本政府は法律改正などにより規制を強めてきましたが、アスベストの使用禁止までには長い年月がかかっています。ここでは、アスベスト使用禁止までの道のりを確認していきましょう。

まず手が入れられたのは、1975年に実施された、特定化学物質等障害予防規則の改正です。石綿が含まれる割合が、重量の5%を超える建材を吹き付ける作業が規制されました。

その後、1995年にはさらなる法改正により、石綿含有量が重量の1%を超える建材を用いた吹き付け作業も禁止され、アモサイトやクロシドライトについては使用が禁止されることになります。

2004年に実施されたのは、吹き付ける作業に加え、石綿を含む量が重量の1%を超える建築資材、摩擦材、接着剤など、10品目の製造や輸入禁止という改正です。2006年にはさらに一歩規制を推し進め、含有量が重量の0.1%を超えた製品を製造すること、輸入、譲渡、提供、使用が原則として禁止されましたが、一部の製品には猶予措置が設けられました。

これらの規制が長期間にわたった理由は、アスベストによる健康被害の潜伏期間が長く、問題が顕在化するまで時間がかかったこと、当初は、アスベスト関連の健康被害が労働者にのみ関連すると認識されています。しかし、アスベストをあつかった工場周辺の住民が健康被害を訴えたことで、流れが急速に変わり、本格的な規制へと動き出しました。

ついに2012年には猶予措置が撤廃され、石綿が含まれる量が重量の0.1%を超えるものについては製造、輸入、譲渡、提供、使用が完全に禁止されました。これにより、法令上ではアスベストの使用が全面的に禁止されたのです。

アスベストが人体にもたらす危険性

アスベストは、さまざまな疾病を引き起こすなどの、危険性が指摘されている物質です。アスベストによる健康被害は、これらの疾病が潜伏期間を経て発症するとされ、その危険性から法的規制が進むなか、使用禁止となりました。

その繊維は非常に微細で、空気中に飛散しやすいため、吸入すると肺の組織内に沈着し、長い間残り続けることでさまざまな疾病を引き起こすとされています。ここでは、その一例を紹介します。アスベストと関連する代表的な疾病は、以下の5つです。

石綿肺

アスベストの粉じんを吸い込むことにより発症する、じん肺の一種です。初期症状にはせき、たん、息切れが現れ、進行すると重度の呼吸不全を引き起こします。長期かつ大量のアスベスト吸引が原因とされています。

肺がん

気管支や肺胞を覆う上皮に発生する悪性の腫瘍です。自覚症状が少ないまま進行することがあり、せき、たん、血痰、胸の痛み、息苦しさが症状として現れます。

悪性中皮腫

胸膜、心膜、腹膜などの表面を覆う細胞層にできる悪性腫瘍です。せきや胸の痛み、呼吸困難、発熱、体重減少が見られることがあり、アスベストを吸い込む以外の原因で発症することもまれにある病気です。

びまん性胸膜肥厚

肺を覆っている胸膜が線維化し、厚くかつ硬くなり、呼吸機能が低下します。息切れなどが進行する症状として現れます。

良性石綿胸水

胸膜の炎症により、胸水がたまる病気です。症状がほとんど現れないことも多いですが、一部では呼吸器障害が残ることがあります。

まとめ

アスベストは、その優れたメリットから、建材や工業製品に広く利用されてきましたが、健康へのリスクがあることがわかり、規制の必要性が認識されました。しかし、長い潜伏期間により、リスクの大きさの認識が遅れ、全面禁止までには長い道のりを要してしまいます。

関連する健康被害は、労働者だけでなく周辺住民にもおよび、ついに2012年の法的規制により、アスベストの使用は全面的に禁止されました。アスベストにかかわる方は、アスベストの危険性と、規制の歴史をしっかりと認識しておきましょう。

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